
ayat1181:さて、第三回目を迎えましたこのインタビューコーナーですが、今回はDJ NORIさんをお迎えしました。今日はよろしくお願いします。
DJ NORI:はい、どうぞよろしくお願いします。
ayat1181:なるほど…本当は今日、せっかくNORIさんをお迎えしていますので、HOUSEを日本に伝導した高橋透さんとのお話や、ラリー・レヴァンさんたちと共にパラダイス・ガラージでプレイを行っていた時の話をお伺いしたいのですが…いかんせん初心者向けのサイトですので、本日の質問は少々変った趣旨になっていきますが…NORIさん、申し訳ございません。
DJ NORI:とんでもないです!ただ、僕なんかが偉そうに語っっちゃってもいいのかな?っていう心配はありますよ。
ayat1181:いえいえ!常にHOUSEシーンのトップで活躍していらっしゃるNORIさんだからこそ、今日はこれからDJを始めようとしている人たちに向けて色んなお話を伺いたいと思います。
DJ NORI:ハハハ(笑)改めて今日はよろしくお願いします。
ayat1181:さて!月並みな御質問からで大変恐縮ですが、NORIさんのDJ歴はだいたいどれぐらいでしょうか?
DJ NORI:そうですね…僕がDJを始めたのが1979年ですので、だいたい30年ほど前でしょうか?
ayat1181:30年!30年ってとてつもなく長いですよね。
DJ NORI:人に話すと「30年」という長さにビックリされますね。だけど年数が長ければ凄いというものでもないと思います。DJというのは。
ayat1181:なるほど…NORIさんがDJをはじめたきっかけというのは何だったのでしょうか?
DJ NORI:音楽が好きで、周りの影響で始めた…という感じでした。僕がDJを始めた頃というのはCulbではなく、Discoでしたね。
ayat1181:その、30年前のDISCOシーンというのはどんな感じでしたか?
DJ NORI:うーん…どんな感じ…と一言で言い表すのは難しいですね。とりあえず現在と全く違うシーンでしたよ。DJをやるのにオーディションがある時代でしたからね。
ayat1181:オーディション!?
DJ NORI:ええ(笑)30年前は一言に「DJ」と言ってもとっても厳しかったんですよ。先ほどお話ししたとおり、まずDJとして出演するのにオーディションがあります。けど、本当に大変なのはオーディションが通って、実際にDJをやる時です。せっかくDJブースに立つことができても、ミスをしたりお客さんの反応がイマイチだったりするとすぐにクビです。たちまちDJブースから引きずり下ろされてしまうのです。
ayat1181:うわ…今ではちょっと考えられないですね…。
DJ NORI:そうですね。30年前はDJというのはとても狭い狭い門でした。
ayat1181:30年前と現在と比べてどうでしょうか?DJをやる環境と言うのはどのように変りましたか?
DJ NORI:まず、とても自由になりました。環境も、表現もです。
ayat1181:具体的にどの様に自由になりましたか?
DJ NORI:環境という観点では、入り口がとても広くなりましたね。今はDJブースの中に立つのに殆どオーディションなんてありませんし、「やりたい」と思えばすぐに始められます。パーティーにも人の紹介だったり、あとは自分でパーティーを企画することでDJとして出演することができます。少し表現がおかしいかもしれませんが、昔とくらべて敷居が低くなったと思います。
ayat1181:なるほど…では、表現という観点ではいかがでしょうか?
DJ NORI:音楽ジャンルの話をし始めるとキリがなくなるので割愛しますが、僕は、機材という意味合いで表現が広がったと思います。今はCDでもパソコンでもDJができてしまう時代です。すぐにMIXが出来てしまう。そんなに練習をしなくてもね。CDJを触ったことがある人ならご存知かと思いますが、アナログを使うよりも本当にスムーズに、そして簡単にMIXできてしまうんですよ。
ayat1181:へえ〜!数年前からDJもデジタル化が進んでいるとは聞いていましたが…
DJ NORI:デジタルは便利ですね。だけど、僕の正直な本音を語らせていただくと、やっぱりDJはアナログでやって欲しいという願いがあります。レコードで曲を伝えてほしいのです。僕はやっぱりアナログの音が一番好きだし、アナログの音こそが本物の音だと思っていますので、今の若い世代の人たちのもやっぱり本物の音に触れてほしいです。いい音で音楽を聴くというのはとても大事です。
ayat1181:NORIさんもDJをされるときアナログですものね。
DJ NORI:はい。でも、今のデジタル機材を否定しているわけではないのです。僕もDJをする時CDJを使うことはあります。友人が自分で作った新しいトラックをくれる時はCDですし、その曲を今日かけたいなって思ったらCDJを使うしか流す方法はありませんからね。
ayat1181:では、CDJとは半々くらいですか?
DJ NORI:あんまり自分の中できっちりと線引きはしてないですね。臨機応変にやってます。アナログやりつつ曲ごとにCDを使い分けたりしていますね。シーンや需要によって使い分ければいいと思うのです。たとえば海とかで野外パーティーをする時、潮風にアナログ機材は致命的なのでCDJを使うべきだと思いますし。
ayat1181:なるほど…
DJ NORI:ですから、頑なに新しいものを拒絶しないで上手に共存していけばいいと思いますよ。でもねえ…最近アナログで回す人もなんだか少なくなって来ている気がしますし、なんだか肩身が狭いというか(笑)とても寂しくはありますね。
ayat1181:え?今はそんなに少ないんですか?
DJ NORI:目に見えて少ないですよ。そう感じる事はパーティーの中だけではありません。まず、中古のDJ機材を売っているお店、ターンテーブルが山積みになってましたね。あと…アナログレコードのレーベル自体がもう少なくなって来ているのも事実です。
ayat1181:え!そうなんですか?
DJ NORI:ええ、だからね、最近とても心配になるのは、このままどんどんアナログが衰退していってしまって、そのうちレコードの針すら店頭から姿を消してしまうんじゃないかって(笑)
ayat1181:じゃあ、今のうちに買い占めておかないといけないですね(笑)
DJ NORI:アハハ(笑)しかし、レコードの針が店頭から姿を消してしまうようなことになってしまったらもうDJもおしまいですね…。ああ、想像したらちょっと怖いな…。いやあ、正直僕がアナログにこだわっているのは機材を作ってく側の戦略にハマりたくなくて、デジタルに対抗しているっていくのもあるかもしれませんね。…けど便利なんだよなあ…CDJも…。
ayat1181:でも…もしこのまま機材のデジタル化が進んで行ってアナログ関連の商品が完全に姿を消してしまったら嫌ですね。
DJ NORI:こまりますね、それは!loopsoundsのMOCHIZUKIさんとついこの間そんな話をしたばかりですね。「アナログなくなっちゃったらもういっそ僕らカセットテープでDJやっちゃおうか?」というような冗談を…
ayat1181:カセットテープ!逆に新しいです…
DJ NORI:笑っちゃいますよね。
ayat1181:さて、そんなキャリアも長く、色んな観点から現在のクラブシーン、HOUSEシーンを見つめているNORIさんだからこそユーザーの方も是非聞いてみたいと思うのですが。これからDJを始めたいと思っている人達へNORIさんからのメッセージをお願いします。
DJ NORI:そんな質問を僕にしちゃいますか…(笑)最初に少し話しましたが僕がそんなに偉そうにアドバイスできる立場ではないと思いますし、なんだか恥ずかしいですね。
ayat1181:NORIさんの経歴を知っている人からしてみたら鼻血モノ間違いなしですので!ここはぜひ…
DJ NORI:そうですね…やっぱり基本は「好き」だったら何が何でも頑張ってほしいというのはありますよ。「好き」という感情があれば大概の事は乗り越えられます。
ayat1181:それでも、「好き」という感情だけではどうにも乗り越えられないときはどうしたらいいでしょうか?
DJ NORI:いやあー…本当、それは僕も知りたいですね。
ayat1181:NORIさん程のキャリアも実績もあるDJさんでもつらくなる事というのはありますか?
DJ NORI:それはもちろん。DJである前に人間ですから、悩んだり迷ったりすることはありますよ。正直やめてしまいたいと思うことも。好きという感情だけではどうしようもならない局面だってあります。けど、そういう時に助けられるのはいつも周りの仲間であったり、友人であったり、DJ以外の趣味であったり…そいういうときってDJ以外の事に目を向けてみて、一旦思い切ってリフレッシュした方がいいかもしれません。これは僕からの本当に素のアドバイスですよ。
ayat1181:DJ以外の事に目を向ける…ですか?
DJ NORI:もう、これはDJに限らずにそれぞれ自分の私生活にも言える事だと思うのですが、何か一つだけの事にしか目を向けなくなってしまうと視野もせまくなるし、自分の首を絞めますよ。だから、もし長くDJをやりたかったらDJ以外の趣味を持つ事をお勧めします。
ayat1181:DJ以外の趣味ですね、なるほど…
DJ NORI:あと、これも前出のloopsoundsのMOCHIZUKIさんと話していたことなんですけど、あんまり音楽をマニアックに聴かないでほしいですね。
ayat1181:マニアックに聴くというのはどういう意味でしょうか?
DJ NORI:そうですね、あんまり音オタクにならないでほしいということでしょうか…。
ayat1181:お…音オタクですか?これは初めて聴く単語です。
DJ NORI:ええ、DJのかける音楽をジーっと黙ってきいて、誰のどの曲で何リミックスか…みたいな、頭で聴いちゃう感じのことです。僕も、パーティーへ遊びに行ったりしてDJが良い曲をかけてたりすると「ああ、これ誰のなんて曲なんだろう?」って気になるときはありますので、他のDJのプレイに興味を持って良いところを吸収するのはとっても良いことだとは思うのですが、やっぱりクラブってBODY&SOUL。これはきっと永遠に変りません。頭で考えて楽しむものではないと思うから、体で感じ、その場の空気感やGLOOVEを楽しんでほしいです。
ayat1181:なるほど…
DJ NORI:けど…現在は本当にいい時代だなって思います、情報にとても恵まれていますね。インターネットですぐに音楽の情報も手に入るし、簡単に試聴だってできるし…今の若い世代の人たちの方が自分が思っている以上に曲の知識などに詳しかったりするので本当にビックリさせられます。
ayat1181:けど、個人的に思うのですが、それに比較してNORIさんは日本のHOUSEシーンの生き証人だと思うのです。
DJ NORI:ありがとうございます。そうですね…リアルタイムで消化してきたという誇りは大事にしていきたいですし、そういう意味では僕もまだまだ若い世代に負けたくないなっていう気持ちはありますよ。本当に。
ayat118:いやあ…なんだか一言一言にとても重みがあって、とても有意義なお話を聞けました。本日はどうもありがとうございました。
DJ NORI:はい、こちらこそどうもありがとうございました。aya_t1181の感想:
私はインタビュアーという仕事を今まで100件以上こなしてきましたが、 こんなにも緊張した取材は生まれて初めてでした。 正直取材中に何度も震えそうになったのですが(というか実際震えましたが笑) NORIさんは時折笑顔を交えながらとても気さくにお話をして下さいました。 取材が終ったあと、とても深々とお辞儀をして帰られ、 HOUSEに対して知識不足だった私に対してわかる様に丁寧に説明して下さいました。 取材中NORIさんに教えて頂いたHOUSEのドキュメンタリー映画を右に御紹介しておきますので 興味のある方は是非一度ごらんになってみてください。










